自己採点の後、彼女、泣きながら親に電話して。
その横でおいらときたら弁当食って。
「お母さん…どうしよう、ボーダーに足りないよ…。」
「むしゃむしゃ(うーん。今日もカレーコロッケが入ってる)。」
「これじゃ親戚中に顔向けできないよ…ぐすん。」
「もしゃもしゃ(冷食のスパゲッティはミートよりも明太子の方がウマいな)。」
「このままじゃ大学行けないよ…もう生きて行けない。」
「むぐむぐ(あ、ドレッシングの容れ物、豚の形してるわぁ)。」
「えーん…。」
「もごもご。」
「ううっ…うっ…。」
「んぐぐ…ごっくん。」
こう書くとわたっしてばすげー非情な女みたいですけど、時刻は昼休み。
お弁当の時間です。
そもそも私的な電話をわたしの席までやってきてかける彼女の方がふしぎなのです。
電話が終わって、「わたしもここで食べて良い?」
その後、昼休みの間中、
「いつもは…プレはあれだけできたのに…今回は…大問でミスが多くて…」
エンドレスで泣き言聞いてました。
おいらはあくまでも聞くだけさ。
この子はいつだってそう。
人のハナシは聞かないし、自分のことは話したがり。
おいらが何を言ったって仕方ない。仕様がない。
彼女は熱烈な学歴信奉者で、その一方でおいらときたら、あはは、この通り。
正直言って解らないことだらけ。
だから、何も言えないし(言ったところで反感買うだけだし)、
だから、何も言わないのがベストなのさ。
授業が終わってもその愚痴が尽きることはなく。
わたしがトイレに立てば跡を着いてきて「一昨日のセンター」「昨日のセンター」
Sちゃん、もし帰りにおいらを待っててくれたならごめんんさいね。
下駄箱まで降りてった時、君は既にいなかったのさ。
ほんとごめんね。
何であの子とおいらは友達なんだろう。
帰り道。
散々愚痴って気が済んだのか、今度はひたすらバンプの話。
好きなもののこと考えてる時って楽しいよね。
ひたすらいろいろ聞かされました。
スピッツは「おっさんじゃん!」
ウルフルズは「ダサイ!」
ブルハは「古い!」
アートは「オカしいよね、あの人(理樹くんのこと)!」
山崎さんは…もういいよね。解るよね?
バッサリ切られて、何でそーなの俺だけが。
ふん!耐えて忍ぶが人生だ。
いいのよ…それであなたの気が済むなら。
いいのよ…それであなたが大学受かってくれるなら。
いいのよ…それであなたが春にはおいらを解放してくれるなら。
in地下鉄。
彼女、ずーっと図書室で借りた漫画読んでましたから。
おいらはその横で、ひとりぼっち。
二人でいながら、ひとりぼっち。
音楽聴こうがタワレコのフリーペーパー読もうが、おいらを咎める由は彼女には無し。
ところがどっこい。
そいつぁいけねぇ、おいらのポリシーに反すらぁ。
人と一緒にいる時に音楽聴いたり本を読んだりする奴は好きになれない。
たまたまそう云う人間に付き合わなきゃなんねぇ時は我慢もするが、
心中「こうはなりたかねぇなぁ。人として。」
ああ自己嫌悪。
何が悲しくて、一緒にいる奴を軽蔑しなきゃいけないんだろう。
ああ。ああ。ああ。
頼むからこれ以上おいらをヤな奴にさせないでおくれよ。
疲れた、疲れた、疲れた。
それでもおいらは我慢しなきゃなんねぇのか。
彼女は世間様が擁護する受験生。
受験生様を冷たくあしらうのはヒトデナシのやるこった。
って、誰かに言われたからこんなおいらじゃないけれど。
これがおいらの考えうる最高の受験生産業への報復。
誰を、何を、恨んでる訳じゃないけど、オチコボレを愚弄した人間たちを
素直に受け入れられるほどおいらは大人じゃないのだ。
まあ、いいじゃないか。
誰に迷惑をかけた訳でもあるまい。